2025.07.08
しごと
地方移住でも都市と同じ仕事ができる! 人吉市のテレワーク拠点『くまりば』を徹底紹介
投稿者|地域おこし協力隊

私は普段、移住相談会に出たり市役所に直接移住相談してくださる方のご対応をしています。
その中で感じますが、田舎暮らしにあこがれはあっても、実際にいざ踏み出そうとすると、やっぱり“仕事”の壁は大きいものです。
しかし、コロナ禍を経て少し時代が変わりました。
今の生活を維持できるほどの収入を得る手段があるのか。自分のスキルを活かせる環境はあるのか。
テレワークの普及によってそれらはかなり解消されました。都市部に通勤しなくても働ける人が増え、地方での暮らしと都市部と同じ水準の仕事を両立させる選択肢が広がってきています。
とはいえ、場所選びはとても大事。
Wi-Fi環境は? 落ち着いて働けるスペースは? 生活と仕事のバランスは?
そんな疑問を解決してくれる施設が、人吉市にはあるんです。
今回は「人吉市まち・ひと・しごと総合交流館 くまりば」についてご紹介したいと思います!
テレワークも起業も。人吉の“働く拠点”くまりばとは?
「人吉市まち・ひと・しごと総合交流館 くまりば」(以下:くまりば)は、人吉市が整備した、まちと人、仕事をつなぐための複合型拠点です。
かつて国民宿舎だった建物をリノベーションし、
・コワーキングスペース(osoto)
・シェア/サテライトオフィス
・ビジネス相談窓口
・ホステル
・源泉かけ流しの温泉
・日本遺産エントランスセンター
といった働くことに関する機能から観光、創業、宿泊など様々な機能を一つにまとめています。
地方にいながら、都市部と変わらないワークスタイルを実現できる場所。
それが、くまりばです。
どんなサービスがあるの?くまりばの各施設をご紹介します
では実際に、くまりばにはどんな施設があるのでしょうか?
ここからは、施設内にあるサービスをひとつずつご紹介していきます。
テレワークでも、起業でも、副業でも。
あなたの“働き方”にフィットするサービスが、きっと見つかるはずです。
- コワーキングスペース「osoto Hitoyoshi」
くまりばの1階には、スノーピークとコラボしたコワーキングスペース「osoto Hitoyoshi(以下:osoto)」があります。屋内でありながら人工芝が敷かれ、キャンプギアで統一されたインテリアは、まるでアウトドアのような開放感があります。目の前にはゆったりと流れる球磨川が広がり、屋内でありながら開放感にあふれた気持ちのいい空間です。
Wi-Fiや電源、空調も完備されており、快適に作業することができます。利用者は人吉市内のカフェの豆を使ったドリップコーヒーを自由に楽しむことができ、自分で淹れるひとときも、ちょっとしたリフレッシュになります。
利用はドロップイン形式で、3時間550円、6時間880円、9時間1,100円。そのあとは1時間追加するごとに110円追加になります。
使い放題のプランもあり、個人会員なら月額5,500円で何回でも使えますよ。営業時間は9時から21時まで、定休日は火曜日と土日以外の祝日です。
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- シェアオフィス・サテライトオフィス
くまりばの2階はオフィスフロアになっており、個人事業主や企業が利用するシェアオフィス・サテライトオフィスがあります。
シェアオフィスは月額30,000円で使用することができます。Wi-Fi完備、法人登記可能、固定のポストが使用可能です。また、シェアオフィス利用者はコワーキングスペースが使い放題です。
サテライトオフィスは、より独立性の高い個室空間となっており、現在は満室ですが、企業の地方拠点やリモート拠点として活用されています。
- 人吉しごとサポートセンター Hit-Biz
「人吉しごとサポートセンター Hit-Biz(ヒットビズ)」は、人吉球磨地域で事業を行う人や、これから何か始めたいという人のためのビジネス相談窓口です。
専門のアドバイザーが常駐し、「聴きます」「みつけます」「提案します」「伴走します」の姿勢で、売上アップや販路拡大、商品開発などの課題に対応。くまりばの利用や事業規模、業種に関わらず、どんな人でも何度でも無料で相談できるのが大きな特長です。
実際に相談を通して新商品を開発したり、クラウドファンディングに挑戦したりと、地域内外で多くの動きが生まれています。
詳細はこちら
- ホステル
くまりばには、宿泊機能も備わっています。ホステルにはセミダブルルームが4室、ツインルームが1室、ドミトリー(最大4名)が1室あり、いずれもシンプルながら快適なデザイン。
セミダブルルームは球磨川に面しており、窓辺にあるデスクでは川の流れを眺めながら仕事や読書に没頭できます。それぞれの部屋は異なるコンセプトで内装が施されており、滞在そのものが小さな体験になります。
ワーケーションや、集中して作業をしたいときの滞在拠点としてもおすすめです。
- 温泉
かつて国民宿舎だった建物を活用したくまりばには、源泉かけ流しの温泉施設も併設されています。男女別の浴室に加え、家族風呂も完備。くまりばの利用者だけではなく、地域住民の方も利用する憩いの場所です。
入浴料は中学生以上が400円(15回分回数券 4,500円)、3歳~小学生が200円です。家族風呂もあって、1時間4人までで1,500円で利用することができます。温泉の営業時間は13:00~21:00です。 (最終受付は20:30まで)
仕事の後に温泉に入って、ゆっくりリラックスしてはいかがでしょうか?
- 貸しスペース(会議室・キッチン)
くまりばには、さまざまな用途で利用できる貸しスペースが整っています。
会議室は3部屋あり、第1会議室(12名程度)、第2・第3会議室(各8名程度)を備えています。打ち合わせ、ワークショップ、小規模なセミナーなどに活用されており、ホワイトボードやモニターなどの備品も利用可能です。
また、コワーキングスペース「osoto」も時間帯によっては貸切利用が可能です(要予約)。f地域の学びや交流の場として人気があります。
レンタルキッチンでは、調理実習、料理教室、食関連のワークショップなどが開催されています。業務用の調理器具、IHコンロ、冷蔵庫のほか、動画配信に対応した簡易撮影機材も揃っています。
会議室等の貸しスペースの使用料金についてはこちらをご確認ください。
レンタルキッチンの使用料金についてはこちらをご確認ください。
※記事にある料金はすべて令和7年7月現在のものです。
利用者の声:くまりばがあるから、テレワークが孤独じゃなくなった
それでは実際に、くまりばで“人よしワーク”をしている方の声をご紹介しましょう。
ご登場いただくのは、都市部の会社で働きながら、人吉に移住してきたMさん。
「家でも働けるけれど、あえて“通う”場所がある意味とは?」
テレワークの孤独とどう向き合い、どんなふうに日々を送っているのか——。くまりばという空間がもたらす価値を、リアルな視点で語っていただきました。
Mさん(30代・女性・採用担当/人吉市在住)
—— こんにちは。まずは簡単に自己紹介と、現在のお仕事について教えてください。
こんにちは。私は医療・介護・保育事業を全国で展開している企業で、保育部門の採用担当をしています。人吉に来る前は福岡のオフィスに居ました。 基本的には完全テレワークで、年に数回だけ東京の本社に行くくらい。日常の仕事は、ここ人吉で行っています。
—— 人吉に来られたきっかけは?
学生時代に親の転勤で一時期人吉に住んでいたことがあり、実は今回の移住は“Uターン”になります。 水害復旧のお手伝いの時に人吉出身の夫と出会い、結婚したのをきっかけに戻ってきたのですが、まさか自分がまた人吉に住むとは思っていませんでした(笑)。
—— くまりばを知ったきっかけは?
夫がきっかけです。くまりばの管理をされている方と知り合いで、私の仕事スタイルを聞いたその方が「くまりば、いいかもよ」と提案してくれたんです。それで夫から紹介されて、利用するようになりました。
—— 普段はどのように利用されていますか?
月額会員として、週に2〜4日ほど利用しています。時間は朝9時から夕方17時半くらいまで。
料金が5,500円とそこまで高くないので、気軽に使えるのがありがたいですね。
—— 実際に使ってみて、いかがでしたか?
本当に助かっています。
それまではずっと自宅で仕事をしていたんですが、テレワークって孤独なんですよ。ずっとパソコンに向かって、誰とも喋らずに過ごす日々。顔の筋肉すら動かさないまま1日が終わることもありました(笑)。
でもくまりばに来るようになってからは、同じように働く人と少し話すだけでも気分転換になりますし、気軽に歩いたり休憩したりもできて、メリハリがつきました。
家で仕事をしていると、どうしても生活との切り替えが難しいんです。でもくまりばに来るとスイッチが入るんですよね。
特に気に入っているのは、モニターの貸し出しがあるところですね。家にそういう設備がないので、すごく重宝しています。
あと、自分でコーヒーを淹れられるのも良いですね。リフレッシュできて、もうちょっと頑張ろうって気持ちになります。
—— 利用していて、「くまりばがあってよかったな」と思う瞬間は?
やっぱり他の利用者さんと話せることですね。
テレワークって、自分の世界に閉じこもりがちなんですけど、ここに来るとちょっとした会話が生まれるんです。それがいい刺激になって、仕事にもより精力的に取り組めるようになりました。
—— 人吉への移住や、地方でのテレワークを考えている方にメッセージをお願いします。
人吉って、戻ってきてから気づいたんですけど、本当に良いところがたくさんあるんです。
人が温かくて、水やご飯が美味しくて、最近ではアニメの聖地にもなっていますよね。子どもの頃にはわからなかった魅力が、今になってどんどん見えてきました。
Wi-Fi環境も問題ないですし、車があれば生活に不便を感じることもありません。
「テレワーク、地方でもできるのかな?」と不安な人もいるかもしれませんが、人吉でのリモートワークは本当におすすめですよ。
管理者の声:くまりばは地域内外の人、企業、情報を繋ぐハブとなる場所です
次に、くまりばを管理されている一般社団法人ドットリバーの『祇園下千裕(ぎおんした ちひろ)』さんにお話を伺いました。
祇園下さんは2018年にくまりばが開館してから、ドットリバーさんが指定管理者になって現在までくまりばの運営に携わってきました。
そんな祇園下さんが語るくまりばの魅力とはいったいどんなところでしょうか。インタビューしてきましたので、ご覧ください。
一般社団法人ドットリバーの祇園下さん(左)と西さん(右)
――自己紹介をお願いします
一般社団法人ドットリバーで「くまりば」の副館長を務める祇園下千裕です。人吉市が設置した“まち・ひと・しごと総合交流館”としてのくまりばを、指定管理者として日々運営しています。
――くまりばのビジョンを教えてください
“ドットリバー”の社名に込められた「点と点をつなぐ」という精神の通り、くまりばは地域内外の人・企業・情報を結び、新たな関係人口を生むハブになることを目指しています。観光振興拠点でありながら商工振興拠点でもあるくまりばが起点となり、人吉で挑戦したい人の最初の一歩を後押しする場所にしたいと考えています。
――どんな方にくまりばを利用してほしいですか?
一つが、地域外のリモートワーカーや短期滞在者です。観光だけでなく“働く滞在”という新しい関わり方の最初のきっかけになれば嬉しいです! もう一つが、地元の皆さんにも利用していただきたいです。温泉だけの利用も歓迎ですし、気軽なコワーキング利用で日常に変化を付けてもらえたらと思います。そこから地域外の利用者とつながったりできるといいですよね。また実は、奥さまの里帰り出産に同行したご主人がテレワークで長期滞在するためにくまりばのホステルを利用するなど、新しい使い方も増えています。
――運営にあたって意識していることはありますか?
意識しているのは、接客の丁寧さと積極的な声かけです。来館された方には必ず挨拶をして、「暑いですね」「何か不便はありませんか?」といった一言を大事にしています。そうした声かけによって、利用者がちょっとした悩みや要望を言いやすくなり、より快適な空間を一緒につくっていけると感じています。
また、日差しや室温、椅子の座り心地など細かい部分にも気を配り、その場で改善できることはすぐに対応するようにしています。スタッフ同士でもそうした気配りの意識を共有していて、施設全体として「言いやすく、居やすい」雰囲気づくりを心がけています。利用者の方から「ここまで丁寧な接客はない」と言っていただくこともあり、それが私たちの励みにもなっています。
また、施設を清潔に保つ意識はスタッフ全体で共有しています。各自が意識を高く持っているおかげで清潔感は保たれていて、過ごしやすい雰囲気にもなっていると思います。。
――くまりばのおすすめポイントはありますか?
何と言っても源泉かけ流し温泉付きコワーキング。仕事の合間に温泉でリフレッシュ――そんな働き方が一つの施設でできるのは全国的にも珍しいです。さらに、スノーピークのアウトドアギアを活用したイベントスペースなど、自由度の高い空間演出も魅力です。
――移住を検討されている方へ一言お願いします
人吉は人が温かいのはもちろんですが、実は生活の不便さを感じないとても暮らしやすい町です。安心して働きたい、悩みごとがある、誰かとつながりたいと思ったときは、くまりばを訪ねてください。スタッフが地域の人や情報をおつなぎしますので、検討段階の方でもお気軽にどうぞ!
まとめ
今回は「人吉市まち・ひと・しごと総合交流館 くまりば」についてご紹介しました。
くまりばはコワーキングスペースだけではなく、人吉市にとって、人と、仕事と、町を繋ぐ、素敵な場所ということがおわかりいただけたでしょうか?
特に仕事がテレワークでも問題ない人や、移住後に人吉で起業しようと考えている人にとってはおすすめの場所です。しかし、そうでない人にとっても、色々なつながりができて温泉にも入れるくまりばに来てみてほしいです!
人吉市に来た際は、ぜひ足を運んでみてくださいね。